木村監督より、夏の大会を終えてコメントをいただきました
また今年も夏が終わりました。多くの方々に応援をしていただきながら、よい結果をもたらすことができず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただし、過去2年間「勝てなかった」という思いに駆られたのに比べれば、今年は「負けた」との思いが強いのも事実です。この両者は似て非なるもの。勝てるのに、力が出せずに「勝てなかった」のと、ある程度(負けは負けなので、どこまで行っても納得はできませんが)力を出して「負けた」のとでは全く違うのです。球場でご覧になっていただいた方から、「面白かった」との声を幾度か聞かせていただきました。過去にも書きましたが、私は部員諸君に常々、「高校野球において打撃三冠(ホームラン・打率・打点)のなかで、大切なのは打点だ」と言っています。もちろん、ホームランが打てれば当然打点にもなりますし、打率は力量をはかる目安にもなりますが、ここぞの場面でいい仕事をする、内野ゴロでも点が入る場面はそれができることが大切だ、と指導しています。昨年までの2年間はそれができませんでした(できる力があったのに、です)が、今年は先行されても見事に追いすがり、途中までは五分の戦いに持ち込めたことが、「面白かった」の声につながったのではないかと思います。残念ながら、投手力を含めたディフェンスが整備しきれずに負けてしまったわけですが、思いとしては、よくぞここまで、のほうが強いのです。
今年のチームは、私の過去30年の指導歴の中でも、1~2を争う厳しいチームでした。足の速い選手が少ない、この子はうまいな、野球を知っているなと思える選手がいない、野球小僧みたいなのがいない、溌溂としたスポーツマンがいない・・・挙げていけばきりがないほどのマイナスからスタートしました。しかし、結果として誰一人中途で投げ出す選手がいなかったなかで、この生徒はこれができる、この部員はこの点では力を出せるのでは、この選書にこのポジションを任せてみよう、と、少しずつ肯定をしてチームを全員で作り上げていき、3年生が全員レギュラーとしてのポジションを獲得してくれました。そして、あの夏の試合です。サインミスやエラーなど、ミスはありましたが、秋に地区2位にもなった相手に堂々と渡り合ってくれました。辞めずに続けた3年生と保護者の皆さんに「勝ち」をお見せできなかったのは、私の力量不足ですが、下級生たちには3年間戦い続けることの大切さを伝えてくれる、そんな夏だったのでは、と思います。
高等学校の部活動の在り方も、大きな転換点に来ています。部活は悪、のような風潮もある中で、今後も微力ながら戦っていきたいと思います。
平成27年3月卒業の長谷川健太君が、3年にわたる闘病生活の末、残念ながら6月逝去されました。私が転勤した年に一緒に入学し、在校中はサードやレフトで活躍、夏の大会の開会式では志願してプラカードを掲げ行進しました。3年間で大きく進歩し、背番号7を勝ち取りました。心からご冥福をお祈りします。OB会からも供花をしていただきました。ご報告させていただきます。